大野川流域の至る所で災害の爪痕にでくわします。川に接するときに災害との関係は避けられなく、普段の川と洪水時の川の様相は全く異なり、まさに川の二面性を意識させられます。特に急勾配の川は、洪水時の様相は想像を絶します。魚釣りや水遊びをしている川が、洪水時に民家の軒まで水位が上がり、家が浮いてまわりながら流される光景は(小学生のころのできごとでしたが)いまだに脳裏から離れず、鮮明に思い出されます。川泳ぎで、飛び込み台として具合のいい木の橋は、いつも流されていました。片方を綱で岸に固定してあり、もう一方のほうは岸にのせてあるだけなので、濁流にもみくちゃにされながらも、流れてはいォませんでした。へびが岸辺の枯れ木に重なるようにして何十匹も巻きついている様子は、子供ならずとも震えあがるほど恐ろしい光景でした。
基礎的な情報を入手するために大分地方気象台と県庁の情報センターにいって、次の資料が入手できました。これでまた、大野川を散策するときの視点が増えました。
1。『大分地方気象台監修 大分県災異誌』
県内で起こった過去の災害の記録を振り返り、その対策を講じるための重要な資 料として、風水害、火災、地震等の災害を記録・編集したものです。
第1遍 慶雲 3年〜昭和26年
第2編 昭和27年〜昭和35年
第3編 昭和36年〜昭和45年
第4編 昭和46年〜昭和55年
第5編 昭和56年〜平成 2年
災害は、大雨・強雨、長雨、少雨、雷雨、大雪、着雪、強風、異常高温、冷害、寡照、多照、ひょう、竜巻、濃霧、霜、高波・波浪、赤潮、大気汚染に分類され、全998件の災害記録が掲載され、大中小規模のランクがつけられています。
2。『平成2年災害をふりかえって』大分県農政耕地課
3。『平成2年7月2日梅雨前線 豪雨災害誌』大分県土木建築部
4。『平成3年台風災害誌』大分県林業水産部
5。『消防年報』大分県
大野川の治水の歴史
明治26年 大洪水発生
大正07年 大洪水発生
昭和04年 直轄事業として改修工事施工(計画高水流量 5,000 m3/s)
昭和18年 9月大洪水発生
昭和20年 9月大洪水発生
昭和21年 計画高水流量改定 7,500 m3/s
昭和29年 9月大洪水発生
昭和30年 9月大洪水発生
昭和36年 10月大洪水発生
昭和41年 工事実施基本計画策定
昭和49年 工事実施基本計画の改定 計画高水流量 11,000 m3/s
(建設省九州地方建設局「河川環境ハンドブック」より抜粋)
大分県の災害史のなかでも、平成2年の水害、平成3年の風害は最大級の災害で、農政耕地課、土木建築部、林業水産部は災害誌を編集しております。『消防年報』も災害にふれており、この2回の災害がいかに大きかったかを物語っています。
平成2年7月2日梅雨前線による災害
6月28日より朝鮮半島より南下した梅雨前線に台風くずれの低気圧が前線を東進し、太平洋高気圧から温かい湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発となり、県下全域に大雨を降らし、特に熊本県阿蘇地方、久住地方から竹田にかけては、熊本県波野でMAX73mm,竹田でMAX54mmを記録した。 竹田市では市内を流れる玉来川、稲葉川が氾濫し、玉来地区は道路橋、鉄道橋に流木が堰をつくり、民家、商店、事務所の1階部分は浸水し、止めてあった車はほとんど流され、ビルの上から流れる車の数を数えていて、50台を越えて数えるのを諦めたと知人から聞いた。玉来川は道路を川にして稲葉川に流れ込み、竹田の裏町から下町にかけて床上浸水をもたらした。
(被害)大野川流域関係 土木建築部『豪雨災害誌』より抜粋
死者 負傷者 家屋全壊 半壊 床上浸水 床下浸水
竹田市 4 36 39 53 265 162
直入郡 1 2 9 20 43 141
大野郡 2 16 10 131 112
大分市 8 3
JR豊肥線の被害 大分合同新聞より抜粋
緒方〜朝地間の第一大野川鉄橋、玉来〜竹田間の玉来鉄橋の2つが流失 県内に鉄道が開通して以来、川の氾濫で鉄橋が流失したのは初めて。 なお、道路橋の流失は、三重町の向野橋、千歳村の原田橋、清川村と大野町の境 の大野橋が流失した。(他では魚住橋)今回の被害の原因ともなった流木は別府湾や伊予沖に大量の流木が流出し、別府湾だけでも千数百本が滞留した。
被害額 土木建築部『豪雨災害誌』より
大分県下では総額751億円にもおよび、このうち大野川流域の豊肥地区の被害は521億円にも達し、県下の約70%がこの地区に集中した。 振興局別の被害状況は、豊肥地区だけで、土木建築部関係が約235億円(県全体の75%)、農政部関係が140億円(県全体の82%)、商工労働観光部関係63億円(県全体の99.7%)となっている。
土木建築部の中では、河川被害が142億円、道路58億円、橋梁18.1億円となった。なお、JR豊肥線は復旧までに1年3カ月を要し平成3年10月に開通した。竹田の河川改修工事は1996年2月に工事完了した。
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